君の描くそらは何故か黄色
























イエロー
























「色覚異常者」って呼ばれるらしい。





病気なのか障害なのかよく分からないけど。周りの人とは違うんだってわかる。けど違うところと言ったら、教科書の色が違うとか、持っている物の色が変とか。蛍光ペンだってなんだか変な色ではある。だけど、それ以外は一緒。普通にサッカーだってしてるし、友達と喋ったりする。みんなだってそんなに意識してる訳じゃない。もちろん彼だって。











「栗原〜サッカーしよう!」
「あー、待って!まだ課題が出来てない!」
「何、お前まだ課題終わってないの?」
「だってさー、こんな課題気付かねぇよ。」





せっせと課題を進めている。彼が「色覚異常者」の栗原くん。たしか国語のワークP84〜P91までの課題だ。そんなたくさんの量、この短い昼休みに出来るはずがない。





「駒崎〜。助けて〜。」





ほら。やっぱりね。





「なんでよ、昨日もやったよ!」
「頼む!そこをなんとか!」





シャーペンを投げ出し、両手を合わせて懇願した。「ねっ」とねだる。そんな動作が格好良さをくちゃくちゃに壊してしまうくらい可愛い。・・・私も、甘いなぁ。
しぶしぶと栗原くんの席のところへと行って近くにあった椅子に腰掛けた。





「駒崎は俺に甘いね。」





私が思ったことと同じようなことを言う。・・・・まったく、この人は。





「・・・仕方ないじゃん。」
「惚れた弱みだもんねー♪」
「まっ・・・・どこやればいいの?」
「ん〜、ここからここまでやって。」
「はぁ?多いよ!そんなん私のやつ写した方が早いって。」





そう言って私がやってきた課題を出すと、栗原は黙って睨んできた。





「・・・何よ。」
「写したら勉強にならねぇだろ。」





確かに。栗原の言うことはもっともだと思う。前の会話を省けばね。





「栗原くんが私にやれって言ったのも同じじゃん!」
「!・・五月蠅いよ!駒崎のくせに!」
「くせに?!くせにって言ったね?!」





そんな私たちである。











「でもさー、美術部って良く入る気になったね。」





そんな私たちは美術部員である。





「うん、先輩に引っ張られた。あと、駒崎が入ってるから。」
「・・・またそんなこと言う。」
「まぁ気にするな。嘘は言わないし。」





栗原くんは課題とかやらないけど、美術に対してはいつも全力投球なのだという。それに負けないくらい私も美術に対しては燃えるものがあるわけで。ちょっと張り合ってます。





「栗原君の作品はいつ見ても独特で良いね。君にしか見えない色の感覚を上手く使えていて、君らしさが溢れている!」





今は水彩画の作品を作っているところだ。また栗原くん、先生に褒められてる。・・・いいなぁ。羨ましそうに見ていたら栗原くんは気が付いたみたいで、私の方を見て勝利の笑みを浮かべた。





「くやしい・・」
「だったら俺みたくがんばれって!」
「がんばってるよ!」





周りの人はまた痴話喧嘩が始まったと微笑ましそうに見つめている。だけど、実際栗原くんは絵が上手い。空の色は何故か黄色だけど。





「ねぇ、何で黄色なの?」





栗原くんの描く空を指さして訊いた。すると、少し黙ってからこういった。





「分からないけど、そう見えるんだよ。」
「ふーん。綺麗だね、やっぱり。」
「当然。」





にっこりと微笑んで筆を持った腕でガッツポーズをとった。私が素直に褒めることはあまりないから、少し栗原くんの顔は紅い。可愛いなぁと思う。





「ねぇ、私の色は何色に見える?」





何となく訊いたこと。





「お前の?」
「うん。」





なんて言えば良いんだろう、と少し悩んでいるみたいだった。私は栗原くんの眼は持っていないから、どんな風に見えるか分からない。君に映る私はどんなのだろう。





「虹色。」





真剣な顔でいうから吹き出してしまった。





「うそだー。真面目に言ってよ。」
「じゃー、バラ色?」
「何それ!」
「もー、どうでも良いじゃん。俺、おまえの色だけ探してるから。」





どういう意味か分からなかったけど、ふーんと相づちを打った。





「お前の肌の色とか、髪の色とか、見ることが出来るならどれだけ良いかと思うよ。」





そうか。栗原くんには私の色が分からないんだ。だから虹色とかバラ色とか言ったんだ。虹も、バラも、きっと分からないだろうに。でも、前から綺麗な色なんだろうなぁって言ってた。私を重ねてくれたの?





「まったく、これだけはこの眼を恨むよ。」











バラでも虹でも、何でも良いよ。
君の見える世界で私が特別なら、それだけで良いよ。











「ね、キスして。」
「ばーか。」





君がいるなら、それだけでいいよ。














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初めて障害を絡めた小説を書きました。
色々ネットで資料を探しました。
めちゃくちゃ批判の来そうな小説ですが。こないだニュースでその障害を知りました。 だけど、見えにくい色を補う眼鏡みたいなものが売られている・・?開発されているそうです。
批判があれば削除する準備は出来ていますので、メールなどでどうぞ。
またこれが正しい知識というわけではありませんので詳しく知りたい方はご自分で調べてみてください。
それではっ


















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