「傘、忘れたの?」
























相合い傘



























学校帰り、歩いていたら雨が降ってきた。
天気予報、こんなこと言ってなかったのになぁ。ついてないや。
すぐ止みそうな降り方だったから、巴は側にあった駄菓子屋さんの屋根の下に雨宿りしていた。





そんなときに、佐々木 寛太は現れた。











「うん、ついてないでしょ。」





しとしと、と降る雨を少し睨んで肩をすくめた。





「だけど、此処で俺に会えたのはすっげー運が良いと思うよ。」





そう言って、にっこり笑った。
おもむろに差し出された左手に気が付かなかった。





「入ってけば?」
「・・・・・え、いいの?」
「良いよ、温暖前線の影響だから今日の雨は長いって、天気予報の山下さん言ってたんだぞ。」





とりあえず、傘に入れてもらうことにした。
だけど、まだ下校時間はそんなに過ぎてない。
道にはたくさん、生徒が下校の途中だった。
巴はクラスの人が歩いていないか、きょろきょろと見ていた。
なんせ佐々木くんも同じクラスで、こういうところを見られたら何か噂になりそうな気がしたから。





「どした?」
「え、何でもないよっ それより、佐々木くんは家どっち?」
「俺は歩道橋を左。巴は?」
「あたし、歩道橋を右・・・あ、歩道橋までで・・」
「よし、俺近道知ってるから! そっち行こう!」





そう言うと、進路を変えた。
右にあった小さな路地を、佐々木くんに連れられて歩いていった。
なるほど、近道っぽい。


道は小さいのに、二人が横に並んであるけてるんだろうか。
肩が壁にぶつかってるんじゃないかな。体が大きくて、向こうの壁が見えない。
それに、右側を向けば佐々木くんと目が合いそうな気がする。
向けない。





雨が涼しく感じるようになった。








只、ひたすら小さな道を歩いて歩いて。
行く手から自転車が来た。
なんでこんな狭い道に、通るわけ・・・























ぎゅっ





あたしの左肩に、佐々木くんの大きな左手。傘を持ってた左手。
がさっという音がして、傘が落ちた。





あつい。

















シャーッ





自転車は水溜まりの水を跳ねて、颯爽と去っていく。


しばらく何もなかったような沈黙が続いた。











「あ・・・危ねっ! 水かかってない?」





佐々木くんは、ただ驚いた顔してた。
こんなに、意識してるのはあたしだけ?





「だいじょうぶ・・」





会話するのが、苦しい。
こんなにも近くにいる事が、罪の様な気がした。
まだ、佐々木くんの左手はあたしの左肩にある。
足はもう動かない。


時間が止まったみたい。





佐々木くんの視線を感じた。
見上げればすぐそこに佐々木くんの顔がある。





そっと、見上げた。





真っ赤すぎる佐々木くんの顔があった。























強引に引き寄せられて、また抱きしめられて。

















どうして?























「分からないよ。何で、・・・」





言葉が詰まった。口にすることも恥ずかしかった。
何より、分からなかった。
こんなの、私の知ってる佐々木くんじゃなかったし
何より自分の気持ちが、分からなくて、どうしようもなくて。





「俺も分かんね。だけど、・・・巴が好きだって言ったらどうする?」











それは、佐々木くん自身に問いかけているようにも取れた。
耳まで真っ赤で、子どもみたいな問いかけをして、そんな佐々木くんが可愛らしい。
もっとも、あたしだって真っ赤なんだろうけれど。





「どーしよっかな。」
「何で、そゆこと言うの。」





むっとした顔。そんなつもりじゃないんだけどなぁ。





「ごめん、さっきの撤回。」

















「俺、巴がずっと前から好きだった。」























この温かい腕の中で、いつまでも笑ってられるよね?


晴れの日も、雪の日も、相合い傘の雨の日も。























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勢いで書いちゃったので、誤字なんかあるかも知れません。
特に、天気予報の辺りなんか、教科書参考にしてませんので間違ってても許してください。
そこらへん、佐々木くんの口実だったってことで。
















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