廊下ですれ違うときが、勝負所。
遠くから探すのが、習慣。
目が合わないように見つめることが、困難。
























そんな、私の恋はいつも控えめ。
























「ね、砂由。ピングーは、ピングーだよね?」





友達に話し掛けられると、急に現実に引き戻された気がした。





「え、あー。ピングーなんじゃない?」
「ほらね?! やっぱり、聡美が間違ってるんだって!」
「えぇ〜。絶対変だよ!」





どうやらこの二人は、ピングーのイントネーションの話をしていたらしい。
だけど、そんなこと私にはどうでも良かった。
この時間。
時間割に変更が無ければ移動教室で、あいつが教室の前を通るはず。
その時を待ちこがれて。
さり気なく廊下側に歩いていって
さり気なく窓を開けて
さり気なく、奴を見る。











そして、あいつが通る。





背が高くて、あたしとは正反対のあいつが。
























「だからー、あれは、そうなんだって言ったべ。」
「なんでそうなるのか、分からないんだけど。」





ため息をついて、髪をかき上げる。
少し伸びかけの坊主頭。冬でも真っ黒に焼けた肌。
こいつが、あいつ。
北村 優治。





「もういいよっ。次っ!」
「は?! コレが終わらなかったら次に行けないんだよ!関連問題なの!!」





数学の時間。隣の席のあいつと、こうやって過ごしていた。
毎日学校に行くのが楽しかった。
授業中にしか話せないけれど、いろんな事知ったんだ。
北村の両親の職業。
お母さんに怒られたこと。
癖とか、口癖とか。読んでる本とか。





だけど、こんなのそんなに仲が深かったわけじゃなくって。





スキー実習で、一緒に王様ゲームしたこととか。
学年が上がって、クラスが変わって。
それでも、修学旅行に王様ゲームをしたこととか。





良い思い出になってしまった。





それっきりの、あたしと北村。
























廊下ですれ違うときが勝負所。
遠くから探すのが、習慣。
目が合わないように、見つめるのが・・・・困難。













気持ちを表すことが、難しい。
















それでも、目が合うと嬉しい。
そのことにより、成り立っている毎日。










廊下ですれ違うとき、目が合わないようにすることの辛さ。
祭りで会ったときでも、話し掛けることの出来ない、不甲斐なさ。










いっそ、壊してしまいたい自分を見つめて。













今日も、あいつを探す。





願望、右手に。切なさ、胸に。










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もろ私ですよ。
なんてうじうじとした恋愛をするんだろう、私。
ヒロインは殆ど私が入っていますが、ヒーローはごちゃ混ぜです。
50/20/10/15/5くらいの割合づつ、あいつとあいつと君とあの子と彼が入っています。何




















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