「何やってんの?」 「頭の活性化だよ。・・・・林くんもやる?」 そう言って、突き出された 真っ赤な一枚の折り紙。 折り紙 「やだよ、俺そういうの苦手なんだよ。大体、何でおまえそんなことしてんの?」 率直な疑問だった。 だって、時刻は5:30頃で太陽は沈み掛かっている。 こんな時間に教室に残って、折り紙を折ってるなんて。 そいつの周りに散らばった、色鮮やかな紙くずやのり、はさみ、油性ペンが長い事作業をしていた事を表していた。 「だから、頭の活性化だってば。一回言ったじゃん。」 「そう言われても・・・」 そのキツい口調に、少したじろいだ。 だって、クラスでのこいつは大人しくて、女の子らしくて・・・ ぶっちゃけ可愛いって人気なのに。 俺はもしかしたら、見てはいけないものを見たんじゃないだろうか。 「林くんこそ、何しに来たの?」 「あ、俺? 忘れ物したから取りに来たんだよ。」 「一度家に帰って?」 「部活してたから。」 ふーん。 大して俺の発する言葉に興味はなさそうだった。 なんだ、コイツ。自分から聞いてきたくせに。 「野球部・・・でしょ?」 目も合わさず言った。 黙々と作業を続けながら。 「よく知ってんね。」 野球興味あるの? って、俺は聞いた。 そして、また黙った。 「そんなに、興味ある訳じゃないんだけどね。」 俺を見上げながら、笑って言った。 まだ沈んでいない太陽の光と、涼しい風で コイツの髪がさらさらと揺れ、薄い茶色の髪をオレンジに染めた。 俺もきっとオレンジ色。 「野球部に好きな奴でもいるとか?」 からかって聞いた。 だって、こんな時間まで残って、もしかして練習見てたんじゃないの? って。 また俺が沈黙を作ってしまった。 そして壊したのはコイツだった。 「そうだよ。」 あっけにとられた。コイツは続ける。 「・・・おまじないなんかしても効果ないもんね。コレ、破って捨てて?」 そう言って渡されたのは、ハートに切って張り合わせた真っ赤な折り紙。 言われたとおりに破ってみた。 きっと中に名前が書いてあるに違いない。 瞬間、俺の心が拍動を強めた。 そこには、野球部のキャプテンの名前。 しかも、俺の友達。 ほぼ反射的にコイツの顔を見やった。 にっこりと笑って、こう言う。 「協力してよね。」 胸ん中、苦しくなった。 --------------------------------------------- 初めての男目線。 いかがでしたか? それなりに頑張ったつもり・・・ やっと野球ネタ(?)使えました! つか、もっとフルに使いたいです。 とりあえず、私は野球少年大好きということをお忘れ無く。 感想いただけたら嬉しいです。 ←BACK |
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